独白

・今年度から緊縮財政へ。
・採用における当たり・ハズレと、昇進・昇任における成功・失敗。
・『慣習』(NTT出版)とか『功利主義の逆襲』(ナカニシヤ出版)とか物騒な情報が。
講談社学術文庫講談社現代新書のクオリティーギャップ。
・お仕事なんだろうが、ツイッターやブログは慎重に。御里が知れる。
 書店員の場合、更に、底の浅さが露呈する。そして、勿論、私は育ちが悪い。
・『小さな会社でぼくは育つ』(神吉直人/インプレス)について
  こういったビジネススキル・マナーに関する書き手には、だいたい(自称)コンサルタント
 や成功した経営者が多い。そして、多くの場合個人の自慢話が盛られていたり、自信満々の
 上から目線で語られていたりする。だから私は、この手の本を立ち読みで済ます。購入して
 手元に置いておく意味がないから。
  なんで研究者がこういったジャンルに飛び込んで来てくれないかというと、端的に言って
 軽薄そうにみえるから。実際、書店に並んでいる類書の大半が軽薄である。こういった本を
 ものした途端、その研究者は研究という道を踏み外したと認識されるのであろう。  
  さてさて、この本の著者は若手(?)経営学者。研究者の中には現場知らずの人間もいるが、
 この人はきちんとフィールドワークをこなし、業績を上げている。専門は経営組織論(赤岡功
 門下)。この本の中でも組織論や行動論の知識がいろいろ散りばめられている。しかしながら
 それ以上に目を引くのは、著者の内省的姿勢。「これ以上のことは言えない」という地点で
 きちんと宣言し、それでも中小企業で働く人間に求められる成長のためヒントを論じていく。
 こういう人は信用できる。
  ベストセラーになっていないようだが、大学生、中小企業で働いている人、中小企業経営者、
 そしてこれから小さな会社で起業しようとする人、誰もが読むべき本だと思う。「中小企業」
 を「組織」や「チーム」にパラフレーズすれば大企業の人にも十分適用可能。読後に「知って
 いることばかりじゃないか」という感想を抱く人も多いかもしれない。この本はそういった人
 達に返す刀で問う。
  「知っているのね。じゃあ、出来ているのね?」
 
  出涸らしのような『MBA』本やエリートの『入社』本より余程価値がある。

 と誰かが言っていた気がするようなしないような。

小さな会社でぼくは育つ(しごとのわ)

小さな会社でぼくは育つ(しごとのわ)